バネ定数,計算,コイルばね,板,皿,材料,鋼,設計,座金,スプリング,製造等の種類・用語

 

析出硬化/焼入れ/焼戻し/焼なまし



バネ(スプリング)及びバネに関連する用語を規定しているばね用語(バネ用語)において、”f)ばね製造”に分類されている用語のうち、『析出硬化』、『焼入れ』、『焼戻し』、『焼なまし』のJIS規格における定義その他について。

コイルばね、板バネ、皿バネ等の種類・名称・形状・用途、バネ定数やばね荷重の計算・設計、ばね鋼等バネ材料、ばね加工・製造、試験・検査などに関連する用語として、ばね用語(JIS B 0103)において、”f)ばね製造”に分類されているバネ用語には、以下の、『析出硬化』、『焼入れ』、『焼戻し』、『焼なまし』などの用語が定義されています。

ばね用語(JIS B 0103)
⇒【f)ばね製造


分類: ばね用語 > f)ばね製造

番号: 6241

用語: 析出硬化

定義:
過飽和固溶体
(※1)から炭化物、金属間化合物などの異相を析出(※2)させ、硬化させる熱処理。
備考:
JIS G 0201 参照。
(※3)

対応英語(参考):
presipitation hardening

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > f)ばね製造

番号: 6242

用語: 焼入れ

定義:
オーステナイト化温度から急冷して硬化させる処理。
必ずしも硬化を目的とせず、単に急速に冷却する操作をいうこともある。
なお、オーステナイト状態で圧延を行い、その後、圧延ライン上で直ちに行う焼入れもこれに含み、これを圧延後直接焼入れということがある。
備考:
JIS G 0201 参照。

対応英語(参考):
quenching hardening,
quenching

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > f)ばね製造

番号: 6243

用語: 焼戻し

定義:
焼入れで生じた組織を、変態又は析出を進行させて安定な組織に近づけ、所要の性質及び状態を与えるために、A1点以下の適当な温度に加熱、冷却する処理。
焼ならし
(※4)の後に用いる場合もある。
備考:
JIS G 0201 参照。

対応英語(参考):
tempering

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > f)ばね製造

番号: 6244

用語: 焼なまし

定義:
適当な温度に加熱し、その温度に保持した後、冷却する処理。
その目的は、残留応力の除去、硬さの低下、被削性の向上、冷間加工性の改善、結晶組織の調整、所要の機械的、物理的又はその他の性質を得ることなどである。
参考:
鉄鋼の焼なまし加工は、JIS B 6911 に規定している。
備考:
JIS G 0201 参照。

対応英語(参考):
annealing

慣用句(参考):


(※1)
過飽和固溶体とは、その温度での平衡溶解度以上に溶質を固溶している固溶体(2種以上の元素によって形成される均一な固体の結晶質の相)のことです。
普通高温からの急冷で得られます。

(※2)
析出とは、固溶体から異相の結晶が分離成長する現象のことです。

(※3)
JIS G 0201 は、以下のJIS規格になります。

JIS G 0201
鉄鋼用語(熱処理)

この規格の詳細については、以下を参照ください。
鉄鋼用語-鋼材の焼入れ,熱処理,JIS規格鋼製品の材質,種類,品質,試験等

(※4)
焼ならしとは、鉄鋼製品の前加工の影響を除去し、結晶粒を微細化して、機械的性質を改善するために、Ac3 又は Accm点以上の適切な温度に加熱した後、通常は空気中で冷却する処理のことです。