プレスクエンチ/オースフォーミング/オーステンパ/球状化焼なまし
バネ(スプリング)及びバネに関連する用語を規定しているばね用語(バネ用語)において、”f)ばね製造”に分類されている用語のうち、『プレスクエンチ』、『オースフォーミング』、『オーステンパ』、『球状化焼なまし』のJIS規格における定義その他について。
コイルばね、板バネ、皿バネ等の種類・名称・形状・用途、バネ定数やばね荷重の計算・設計、ばね鋼等バネ材料、ばね加工・製造、試験・検査などに関連する用語として、ばね用語(JIS B 0103)において、”f)ばね製造”に分類されているバネ用語には、以下の、『プレスクエンチ』、『オースフォーミング』、『オーステンパ』、『球状化焼なまし』などの用語が定義されています。
ばね用語(JIS B 0103)
⇒【f)ばね製造】
分類: ばね用語 > f)ばね製造
番号: 6233
用語: プレスクエンチ
定義:
焼入れ変形を規制するために、プレスした状態で行う焼入れ。(※1)
対応英語(参考):
press quenching
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > f)ばね製造
番号: 6234
用語: オースフォーミング
定義:
変形加工を伴った熱処理の方法で、鋼をAc3変態点以上に加熱し、準安定オーステナイト(※2)範囲まで急冷し、ある程度おきな塑性変形加工を付与した後、急冷する処理。
対応英語(参考):
ausforming
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > f)ばね製造
番号: 6235
用語: オーステンパ
定義:
加熱してオーステナイト化した鋼を、A1点以下の適当な温度まで急冷し、この温度に保つことによってベイナイト組織を得る熱処理。
備考:
ベイナイト組織は、良好なじん性(靭性)をもつ。
オーステンパ処理は、急冷による熱ひずみを防止する効果がある。
対応英語(参考):
austempering
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > f)ばね製造
番号: 6236
用語: 球状化焼なまし
定義:
塑性加工若しくは切削加工を容易に又は機械的性質を改善する目的で、鉄鋼中の炭化物を球状化させる熱処理。
対応英語(参考):
spheroidizing
慣用句(参考):
−
(※1)
焼入れとは、オーステナイト化温度から急冷して硬化させる処理です。
必ずしも硬化を目的とせず、単に急速に冷却する操作をいうこともあります。
なお、オーステナイト状態で圧延を行い、その後、圧延ライン上で直ちに行う焼入れもこれに含み、これを圧延後直接焼入れということがあります。
(※2)
準安定オーステナイトとは、平衡状態図によって定義される状態とは異なる見掛け上安定な状態にあるオーステナイトのことです。
オーステナイトが安定である温度範囲より低い温度で未変態のまま非平衡に存在する過冷却オーステナイトを指します。