展開長さ/コイルばねの応力修正係数/ワールの応力修正係数/初張力
バネ(スプリング)及びバネに関連する用語を規定しているばね用語(バネ用語)において、”e)ばね設計”に分類されている用語のうち、『展開長さ』、『コイルばねの応力修正係数』、『ワールの応力修正係数』、『初張力』のJIS規格における定義その他について。
コイルばね、板バネ、皿バネ等の種類・名称・形状・用途、バネ定数やばね荷重の計算・設計、ばね鋼等バネ材料、ばね加工・製造、試験・検査などに関連する用語として、ばね用語(JIS B 0103)において、”e)ばね設計”に分類されているバネ用語には、以下の、『展開長さ』、『コイルばねの応力修正係数』、『ワールの応力修正係数』、『初張力』などの用語が定義されています。
ばね用語(JIS B 0103)
⇒【e)ばね設計】
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5428
用語: 展開長さ
定義:
ばね製品の部材を平面状に展開したときの全長。
備考:
素材に圧延、曲げなどの加工を施した場合、素材の切断長さと異なるのでそれと区別して呼ぶ。
対応英語(参考):
developed length
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5511
用語: コイルばねの応力修正係数
定義:
コイルばねの円形材料断面に生じるせん断応力は、線のわん曲や直接せん断作用のため、コイル内側で最大となる。
この最大せん断応力を算出するために、単純なねじり応力に乗じる係数。
対応英語(参考):
stress correction factor
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5512
用語: ワールの応力修正係数
定義:
ワール(Wahl)によって提唱された代表的なコイルばねの応力修正係数で、
κ=(4c−1)/(4c−4)+0.615/c (※1)
で表される。
c:バネ指数 D/d(※2)
対応英語(参考):
Wahl factor,
Wahl stress correction factor
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5513
用語: 初張力(しょちょうりょく)(※3)
定義:
無荷重時に密着している、引張コイルばねの内力。
対応英語(参考):
initial tension
慣用句(参考):
−
(※1)
ばね指数(バネ指数)c の値に対すする応力修正係数 κ=(4c−1)/(4c−4)+0.615/c は、以下の図で表されます。
図 応力修正係数 κ
(※2)
ばね指数(バネ指数)c は、ばね指数が小さくなると局部応力が過大となり、また、ばね指数が大きい場合及び小さい場合は加工性が問題となります。
従って、ばね指数は、熱間で成形する場合には 4〜15、冷間で成形する場合には 4〜22 の範囲で選ぶのが良いとされます(JIS B 2704 圧縮及び引張コイルばね-設計・性能試験方法 参照)。
(※3)
密着巻の冷間成形引張コイルばねにおける初張力Pi は、以下の式で算出されます(詳細は、JIS B 2704 圧縮及び引張コイルばね-設計・性能試験方法 参照)。
Pi={(πd3)/(8D)}×τi
ここに、
Pi:初張力、単位:N
d:材料の直径、単位:mm
D:コイル平均径 D=(Di+Do)/2、単位:mm
Di:コイル内径、単位:mm
Do:コイル外径、単位:mm
τi:初応力、単位:N/mm2