バネ定数,計算,コイルばね,板,皿,材料,鋼,設計,座金,スプリング,製造等の種類・用語

 

ばね定数/動ばね定数/ワインドアップ剛性/横剛性/固有振動数



バネ(スプリング)及びバネに関連する用語を規定しているばね用語(バネ用語)において、”e)ばね設計”に分類されている用語のうち、『ばね定数』、『動ばね定数』、『ワインドアップ剛性』、『横剛性』、『固有振動数』のJIS規格における定義その他について。

コイルばね、板バネ、皿バネ等の種類・名称・形状・用途、バネ定数やばね荷重の計算・設計、ばね鋼等バネ材料、ばね加工・製造、試験・検査などに関連する用語として、ばね用語(JIS B 0103)において、”e)ばね設計”に分類されているバネ用語には、以下の、『ばね定数』、『動ばね定数』、『ワインドアップ剛性』、『横剛性』、『固有振動数』などの用語が定義されています。

ばね用語(JIS B 0103)
⇒【e)ばね設計


分類: ばね用語 > e)ばね設計

番号: 5115

用語: ばね定数(ばねじょうすう)(※1)

定義:
バネに単位変位量(たわみ
(※2)又はたわみ角)を与えるのに必要な力又はモーメント。
備考:
一般には、静的荷重
(※3)に対する静ばね定数(静バネ定数)のことをいう。

対応英語(参考):
spring rate,
spring constant,
rate of spring

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > e)ばね設計

番号: 5116

用語: 動ばね定数

定義:
自動車用懸架ばね
(※4)などのように定常的に振動しているバネに関し、実際の振動状態におけるばね特性(バネ特性)を表すもので、動的荷重(※5)に対するばね定数(付図100)。
備考:
対角線ばね定数(対角線バネ定数)ともいい、一般には、15Hz程度まで対角線ばね定数と動ばね定数とは同じである。
付図100 動ばね定数(5116)、ヒステリシス(5120)
付図100 動ばね定数(5116)、ヒステリシス(5120)

対応英語(参考):
dynamic spring constant

慣用句(参考):
対角線ばね定数(対角線バネ定数)


分類: ばね用語 > e)ばね設計

番号: 5117

用語: ワインドアップ剛性

定義:
車体の加速度によって走行方向とは、直角な水平軸の周りに生じるねじりモーメント
(※6)に対する懸架用板バネの剛性。

対応英語(参考):
wind-up stiffness

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > e)ばね設計

番号: 5118

用語: 横剛性

定義:
バネの通常使われる方向とは直角の方向からの荷重に対する剛性。
重ね板ばねの場合は、板幅方向の剛性。

対応英語(参考):
transverse stiffness

慣用句(参考):


分類: ばね用語 > e)ばね設計

番号: 5119

用語: 固有振動数

定義:
振動系の自由振動の振動数又はバネ単体が、自由振動するときの振動数。

対応英語(参考):
natural frequency

慣用句(参考):


(※1)
ばね定数(バネ定数)は、以下の式によって計算されます。(詳細は、JIS B 2704 圧縮及び引張コイルばね-設計・性能試験方法 参照)。

(a)圧縮ばね及び初張力がない引張ばねの場合

k=P/δ=(Gd4)/(8NaD3

ここに、

k:ばね定数(バネ定数)、単位:N/mm
P:ばねにかかる荷重(力)、単位:N
δ:ばねのたわみ、単位:mm
δ=(8NaD3P)/(Gd4
G:横弾性係数、単位:N/mm2
d:材料の直径、単位:mm
d={(8DP)/(πτ0)}(1/3)={(8κDP)/(πτ)}(1/3)
Na=(Gd4δ)/(8D3P)=(Gd4)/(8D3κ)
κ:応力修正係数、単位:−
τ0:ねじり応力、単位:N/mm2
τ0=(8DP)/(πd3)=(Gdδ)/(πNaD2
τ:ねじり修正応力、単位:N/mm2
τ=κτ0
D:コイル平均径、単位:mm
D=(Di+Do)/2
Di:コイル内径、単位:mm
Do:コイル外径、単位:mm

(b)初張力がある引張ばねの場合(ただし、P>Pi

k=(P−Pi)/δ=(Gd4)/(8NaD3

ここに、

k:ばね定数(バネ定数)、単位:N/mm
P:ばねにかかる荷重(力)、単位:N
Pi:初張力、単位:N
δ:ばねのたわみ、単位:mm
δ={8NaD3(P−Pi)}/(Gd4
G:横弾性係数、単位:N/mm2
d:材料の直径、単位:mm
d={(8DP)/(πτ0)}(1/3)={(8κDP)/(πτ)}(1/3)
Na=(Gd4δ)/(8D3(P−Pi))=(Gd4)/(8D3κ)
κ:応力修正係数、単位:−
τ0:ねじり応力、単位:N/mm2
τ0=(8DP)/(πd3)=(Gdδ)/(πNaD2)+τi
τ:ねじり修正応力、単位:N/mm2
τ=κτ0
τi:初応力、単位:N/mm2
D:コイル平均径、単位:mm
D=(Di+Do)/2
Di:コイル内径、単位:mm
Do:コイル外径、単位:mm

(※2)
たわみとは、バネに荷重、モーメントなどを加えたときに発生する変位又は回転角です。
圧縮コイルばねの場合は、バネ両端の相対変位のことをいいます。
重ね板ばねの場合は、両目玉を結んだ線に対するセンタボルト位置からの垂線の距離の変化のことをいいます。
トーションバーの場合は、バネの両端の回転角のことをいいます。
ぜんまいの場合は、巻回数のことをいいます。
バネのたわみは、上述の以下の式で計算されます。(詳細は、JIS B 2704 圧縮及び引張コイルばね-設計・性能試験方法 参照)。

(※3)
静的荷重とは、時間的にほぼ変動しない荷重のことです。

(※4)
自動車用懸架ばねに関連するJIS規格には以下などがあります。

JIS D 0111
自動車懸架装置用語

この規格では、自動車の懸架装置に関する用語について規定されています。

(※5)
動的荷重とは、繰返し変動する繰返し荷重、大きさと向きが変わる交番荷重など、時間的に変動する荷重のことです。

(※6)
ねじりモーメントとは、ねじりコイルばね(ねじりモーメントを受けるコイルばね)、トーションバー(ねじりを利用する棒状のバネ)などに外力が加えられたときに、軸周りに発生するモーメントのことです。